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グスタフソンの法則とは、1988年にジョン・グスタフソンによって提唱された法則です。これは、並列処理の能力が向上しても、問題のサイズが大きい場合は、実行時間の改善は限られるということを示しています。
グスタフソンの法則は、アムダールの法則と密接に関連しています。アムダールの法則は、コンピュータの実行時間は、計算時間と入出力時間の2つに分解できることを示しています。計算時間は、並列化によって高速化することができますが、入出力時間は、並列化によって高速化することができません。
グスタフソンの法則は、この入出力時間に着目しています。問題のサイズが大きい場合、入出力時間の割合が大きくなるため、実行時間の改善は限られるということになります。
例えば、100万件のデータを処理するプログラムを考えます。このプログラムを1つのCPUで実行する場合、計算時間は100万秒かかりますが、入出力時間は10秒しかかかりません。そのため、実行時間は101万秒になります。
このプログラムを4つのCPUで並列処理する場合、計算時間は25万秒に短縮されますが、入出力時間は10秒のままです。そのため、実行時間は251万秒になります。
この例からわかるように、問題のサイズが大きい場合、並列処理によって実行時間を高速化することができますが、その効果は限られています。
グスタフソンの法則は、並列処理の設計と評価において重要な法則です。この法則を理解することで、問題のサイズと並列処理の能力を適切に組み合わせ、最適な実行時間を実現することができます。
グスタフソンの法則は、次のようなものにも適用されます。
* 大規模なデータ処理
* シミュレーション
* 機械学習
* ビッグデータ分析
これらの分野では、問題のサイズが非常に大きく、並列処理が不可欠です。グスタフソンの法則を理解することで、これらの分野におけるパフォーマンスの向上に役立てることができます。
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