心理学用語

イマジネーション膨張(Imagination inflation)とは、個人が過去の出来事を頭の中で想像・視覚化した結果、その記憶が変化してしまう現象のことである。この言葉は、認知心理学者で記憶研究者のエリザベス・ロフタスによって初めて作られたもので、人は想像の結果、起こってもいない出来事について誤った記憶を持つようになることを実証した。

イマジネーション膨張が起こるメカニズムは、心的なイメージによって、想像した出来事に親近感や現実感が生まれ、それが実際の記憶のように感じられるようになることである。例えば、ある人に「あなたは子供の頃、動物園に行ったことがありますか?」と質問すると、その人は「はい、行きました」と答えるかもしれません。しかし、その人が実際に動物園に行ったかどうかは、記憶が曖昧であるか、そもそも記憶にないこともあります。しかし、その人が動物園に行ったことを想像しただけで、それが実際の記憶のように感じられてしまうことがあるのです。

イマジネーション膨張は、様々な場面で起こりうる現象です。例えば、裁判においては、証人がイマジネーション膨張によって、実際には起こらなかった出来事を記憶しているように錯覚してしまうことがあります。また、マーケティングにおいては、消費者がイマジネーション膨張によって、商品やサービスの魅力を過大に評価してしまうことがあります。

イマジネーション膨張は、人々の記憶や判断に大きな影響を与える可能性があるため、注意が必要です。イマジネーション膨張を防ぐためには、自分の記憶が曖昧な場合は、他人に確認することや、客観的な情報を収集することが大切です。また、イマジネーション膨張が起こりやすい場面では、自分の思考を客観的に見つめ、偏った考えに陥らないように注意する必要があります。

イマジネーション膨張は、人間の記憶の脆弱性を示す現象です。しかし、イマジネーション膨張を理解することで、自分の記憶をより正確に思い出し、より良い判断を下すことができるようになります。

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